― なぜ通貨は崩れるのか?その先にあるリスクと現物資産・通貨分散の重要性 ―
- なぜ通貨は安くなるのか?(原因)
通貨価値が下落する背景には、共通する構造的な要因があります。
• ① 外貨不足
輸入超過や投資流出でドル・ユーロなど決済通貨が足りなくなる。
• ② 政策の信認喪失
高インフレ下での利下げ(トルコ)、政府債務の急増(レバノン)、不透明な為替統制(ミャンマー)など。
• ③ 政治的混乱や制裁
内戦・政権崩壊・国際制裁によって海外投資が途絶。
• ④ 経常赤字の慢性化
輸入エネルギーや食料への依存度が高い国は、ドル高局面で特に弱い。
つまり「外貨が稼げず・政策が信じられず・不安が高まる」と通貨は売られ、急落のスパイラルに陥ります。
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- 通貨暴落国の現状と行く末
トルコ
• 利下げ政策の失敗でインフレ率は40〜80%。
• 今後も「ドル化(市民が外貨に逃避)」が続き、通貨主権が弱まるリスク。
エジプト
• IMF支援の条件で通貨切り下げ → 庶民生活に直撃。
• 外貨収入(観光・スエズ運河)に依存、戦争リスクや小麦価格に左右されやすい。
ミャンマー
• クーデター・内戦で外貨収入ゼロに近い。
• ブラックマーケット主導の経済へ → 国際取引は実質ドル決済。
アルゼンチン
• ハイパーインフレと政策の迷走で「通貨への信頼ゼロ」。
• IMF依存で将来も安定困難。
ジンバブエ
• 新通貨「ZiG」導入も、過去の信用崩壊から誰も信じていない。
• 実態は「外貨(USDやZAR)経済」。
共通する行く末は「外貨化・ドル依存化・通貨主権喪失」。
国が自国通貨で経済を回せなくなると、長期的な成長の芽も奪われます。
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- 日本円はどうか?
• 日本は依然として「世界最大級の対外純資産国」であり、トルコやエジプトのように即座に崩壊するリスクは低い。
• ただし「少子高齢化・巨額債務・エネルギー輸入依存」という構造は円安圧力。
• 金利差が大きい局面では円が売られやすく、資産の偏在リスクを抱える。
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- 資産防衛のカギ:現物資産と通貨分散
通貨は「信用の産物」であり、政策や国際情勢で揺らぎます。
だからこそ、通貨に依存しない資産軸が重要です。
✅ 現物資産
• 不動産:現地通貨に左右されにくく、インフレ局面で実物価値を維持。
• 金(ゴールド):国家・通貨を超えて価値を持つ普遍的資産。
• アンティークコイン/高級時計/車:保有の可視化と換金性の両立。
✅ 通貨分散
• 先進国通貨(USD, EUR, SGD, CHF):流動性と国際決済力。
• 新興国通貨(THB, AED, VND):生活拠点やビジネス先に応じて保有。
• 複数口座・複数法人スキーム:資産・収益の通貨を分けることでリスクヘッジ。
ポイントは「一つの通貨・一つの国に依存しない」こと。
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- まとめ
• 通貨安は「外貨不足」「政策不信」「政治混乱」が原因。
• 行く末は「外貨化=通貨主権喪失」。
• 日本円は即座の危機ではないが、構造的な円安リスクは大きい。
• 資産防衛には、現物資産+通貨分散が必須。
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